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DNA 抽出用組織サンプルの保管方法

野生生物 (植物及び昆虫) のDNA抽出用組織サンプルの保管手法について、ご紹介いたします。

※掲載された情報をご利用いただいた結果、ご利用者に損害等が発生したとしても、当方が一切責任を負うものではありませんのでご了承ください。

植物

〇シリカゲル乾燥

葉など比較的軟らかい組織をシリカゲルで急速に乾燥させることで、DNAが一定期間保管できます。ただし、徐々にDNAの断片化が進むので、5~10年以上の保管の際には注意が必要になります。

・材料

お茶パック、シリカゲル、チャック袋 (密閉性が高いもの)

・方法

1.葉を適当な大きさ (最大でも指の大きさ程度) に切り取り、市販のお茶パックに入れる (お茶パック1枚あたり葉1枚)。

2.乾燥させたシリカゲルを数百グラム程度入れたチャック袋に、サンプルの入ったお茶パックを入れておく。シリカゲルにより葉を急速に乾燥させるため、多めのシリカゲルを入れておくことが重要 (シリカゲルが吸収できる水分量>葉に含まれる水分量)。

〇冷凍保存

冷凍庫 (-20℃~-80℃) で保管しておくことにより、DNAの断片化をより長期間抑制させることが可能です。ただし、冷凍庫のスペースに限りがあること、また万が一冷凍庫が故障した場合には、サンプルの劣化が急速に進む危険があることにご注意ください。

昆虫(ほか主要な節足動物)

〇液浸標本

多くの昆虫では、形態観察の場合には乾燥標本が作製されますが、DNAは比較的短期間で劣化することが多いようです。DNAを長期間保管する際には、エタノールなどを用いた液浸標本が適しています。

・材料

保存液 (95~99%程度のエタノール、アセトン、プロピレングリコールなど。プロピレングリコールは蒸発速度が遅く長期保存に適している)、保存容器 (1.5mlもしくは2.0mlチューブ、スクリュー管など)

・方法

1.生存個体もしくは死亡後すぐの個体を、保存液の入った保存容器に入れる。保存液に入れると体が脱水、硬直するので、形態情報を観察したいときは個体の一部 (脚など) を保存液に入れる。

2.数時間~数日後、いったん保存液をすべて除去し、新しい保存液に入れ替える (個体から水分が出て保存液が薄まるため)。

3.室温もしくは冷蔵 (4℃)、冷凍 (-20℃~-80℃) で保管する。保管温度が低いほど、DNAの断片化の速度が遅くなり、また保存液の蒸発速度も遅くなる (ただし冷凍庫の故障に注意)。保存液が蒸発してなくなると急速にDNAが断片化するので、適宜保存液の残量を確認する。

〇参考文献 (今後いろいろ足していきます)

・種生物学会編 (2012) 種間関係の生物学 共生・寄生・捕食の新しい姿. 文一総合出版, 東京.

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